世界を変える「人」を育てる。IT研修・ビジネス研修ならトレノケート。


ホーム > 法人向けサービス事例紹介  > 研修サービス事例:TIS株式会社

AWS認定資格2,000名超でも解決できなかった「実践力不足」
TISはいかにしてクラウドネイティブな設計・構築力を強化したのか?

TIS株式会社 事例紹介

(公開日:2025年12月2日)

AWS認定資格を取得しても、現場でクラウド最適化が進まない――。
多くの企業が抱えるこの"知識と実践のギャップ"は、AWS認定資格者2,000名超のTIS株式会社でも大きな課題でした。

その解決策として導入されたのが、実践特化型研修「CloudDriver」。
今回は、導入を推進した TIS株式会社 IT基盤技術企画部の加々美秀明様・池田大輔様に、背景、成果、今後の展望を伺いました。

お客様概要

会社名 TIS株式会社
事業内容 ITサービス(システム開発、クラウドサービスなど)
資本金 100億円
従業員数 5,970人(2025年3月31日現在)
会社URL https://www.tis.co.jp/

↑ページの先頭へ戻る

今回お話をお伺いした方

加々美 秀明 様

TIS株式会社 IT基盤技術企画部
部長 マネジメント職
加々美 秀明 様

池田 大輔 様

TIS株式会社 IT基盤技術企画部
エキスパート ITA・企画
池田 大輔 様

↑ページの先頭へ戻る

この事例のポイント

導入前の課題・背景

  • 資格取得だけでは埋められない、「知識」と「実践的な設計・構築スキル」の深刻なギャップ。
  • オンプレミス型の設計思想から抜け出せず、顧客からWell-Architected Framework(以下、WAF※)非準拠を理由に設計品質の低さを指摘される事態が発生。

※Well-Architected Framework(WAF)とは、AWSが提供する、クラウド設計の品質を確保するためのベストプラクティス集。信頼性・セキュリティ・コスト最適化・運用効率・パフォーマンス効率・持続可能性の6つの柱で構成 され、システム設計やレビューの基準となる。

導入後の成果

  • WAFを設計の「共通言語」とする文化がエンジニア・レビュー担当部門双方に浸透し、組織全体の品質意識が向上。
  • 客観的な評価スコアが自身のスキルレベルを可視化する「ものさし」となり、品質担保の明確な指標に。
  • 高品質な疑似プロジェクト研修の外部化に成功し、育成コストと工数を大幅に削減。

↑ページの先頭へ戻る

AWS推進の裏に潜む「オンプレ脳」からの
脱却という高い壁

▲ 左から加々美様、池田様

まず、貴社がAWSビジネスに注力されるようになった背景を教えてください。

加々美様

当初はオンプレミスとのコスト比較が中心でしたが、次第にAWSの価値はそこだけではないと認識するようになりました。「ビジネスの変化に迅速かつ柔軟に対応できる」拡張性や効率性、そして「新しい技術・サービスの取り込みの速さ」。これらはオンプレミスにはない圧倒的な魅力でした。パブリッククラウドの黎明期から業界を牽引するAWSは、顧客ニーズに応える上で極めて重要な戦略的パートナーとなりました。

池田様

システム基盤の考え方が「所有から利用へ」とシフトしたインパクトは絶大でした。オンプレミス時代はハードウェアの調達やセットアップに長時間を要していましたが、AWSはまさに「クリック一つでインフラが手に入る」。この利便性が、システム開発の常識そのものを変えたと実感しています。

AWS活用を進める上で、エンジニアの育成面ではどのような課題がありましたか?

池田様

最も大きな壁は、エンジニアの思考が従来のオンプレミス型から抜け出せないことでした。会社としてAWS認定資格の取得を推進し、知識レベルの底上げは進んでいました。しかし、いざ実案件になると、サーバーを立ててOSをインストールするといった、旧来のIaaSベースの設計にとどまってしまう。クラウドネイティブなアーキテクチャの実現には、エンジニア一人ひとりのスキルセットと思考の変革が不可欠でした。

資格を持っていても、実践とは異なるということでしょうか。

池田様

はい。資格はあくまで知識の証明であり、「実際に顧客の要求を汲み取り、最適な設計に落とし込み、実装できること」とは次元が異なります。これまでは、その実践力を実案件の設計書や構築経験の有無でしか判断できず、客観的な評価が難しい状況でした。

加々美様

まさにその「実践力の可視化と評価」が我々の長年の課題でした。AWSを真に活用するには、サービス知識だけでなく、クラウドの特性を最大限に活かす設計思想や、日々進化する新技術へのキャッチアップが求められます。そんな中、過去にある案件で、お客様の期待する「クラウドらしい設計」に応えられず、システムは動くものの、効率性や拡張性といった非機能要件の品質でご満足いただけないという苦い経験をしました。この一件が、WAFの重要性を会社全体で痛感する決定的なきっかけとなったのです。

↑ページの先頭へ戻る

決め手は「WAFに基づく客観的な評価」
"作る"経験を求めて

▲ 加々美様

CloudDriver導入の直接のきっかけは、そのWAF非準拠の指摘だったのですね。

池田様

その通りです。お客様から設計品質について具体的なフィードバックをいただいたことで、WAFの考え方を体系的に学び、実践できる育成コンテンツが急務となりました。当初はAWSに直接依頼して説明会などを実施し、基本的な知識の習得を進めましたが、実践的なスキルの強化という次の課題が見えてきました。

他の研修サービスと比較して、CloudDriverを選ばれた決め手は何でしたか?

池田様

当社が掲げる「クラウドネイティブな思考法を強化する」という育成方針と、CloudDriverの提供価値が完全に一致していた点です。特に我々が求めていたのは、WAFのフレームワークに沿って、自分たちの頭で設計し、手を動かして構築するリアルな経験でした。CloudDriverは、単に作るだけでなく、そのアウトプットに対してWAFに基づいた定量的なスコアと、専門家からの具体的なフィードバックを提供する。この点が、我々の理想としていた育成の形そのものでした。

座学ではなく「実践」を重視されたのですね。

池田様

そうです。知識はあっても、白紙の状態から要件を形にしようとすると手が止まってしまう。この深い溝を埋めるには、ノーヒントの状態から設計・構築を行う「プロジェクトの疑似体験」こそが最適解だと判断しました。座学では決して得られない、本質的な実践力を養えるのはここしかないと考えました。

↑ページの先頭へ戻る

WAFが設計の「共通指標」に。
育成の効率化とコスト最適化も実現

▲ 池田様

実際にCloudDriverを導入されて、組織にどのような変化がありましたか?

池田様

最大の変化は、エンジニアがWAFを「自分ごと」として意識する文化が根付いたことです。これまで「知識として知っているだけ」だったWAFが、実際の設計時に立ち返るべき指針となり、品質をチェックする上での当たり前の拠り所になりました。受講者からは「実案件では経験しにくいコンテナ構成の設計に挑戦でき、視野が広がった」「WAFの観点に沿って設計を進めるアプローチ自体が大きな学びだった」といった声が数多く寄せられています。

加々美様

この意識変化は、設計を行うエンジニアだけでなく、提案内容をレビューする我々監査側にも確実に波及しました。組織全体でWAFという共通の観点を持って品質をチェックするようになったことで、アーキテクチャのレビューの精度と設計品質が格段に向上したと実感しています。

WAFが組織の「共通言語」や「ものさし」になった、ということですね。

池田様

まさにその通りです。客観的な評価スコアと具体的なフィードバックは、受講者が自身の現在地と伸ばすべきスキルを正確に把握する上で非常に有効でした。また、評価項目の一覧そのものが「優れたアーキテクチャを考える上でのチェックリスト」として機能し、考慮すべきポイントを網羅的に学ぶ良い機会にもなりました。

加々美様

育成コストの面でも大きな効果がありました。従来、こうした実践的な育成は、有志のエンジニアが作る内製の演習環境や疑似プロジェクトに頼っていましたが、コンテンツの作成と陳腐化させないための維持管理に、膨大な工数とコストがかかっていました。今回、質の高い「プロジェクトの疑似体験」を外部サービスで安定的に実施できるようになったことは、育成の効率化とコスト最適化の観点から見ても、非常に費用対効果の高い投資だったと評価しています。

↑ページの先頭へ戻る

WAFをAWSエンジニアの"基礎力"へ。
そして、より高みを目指して

▲ 左から加々美様、池田様

今後、TISとしてどのようなAWSエンジニアを育成していきたいですか?

池田様

AWSは日々ものすごいスピードで進化しています。だからこそ、過去の成功体験にとらわれず、常に最新のサービスや状況に応じて最適な設計を考え抜けるエンジニアを育てたい。そのためには、サービス機能を知っているだけでなく、「なぜこのアーキテクチャを選ぶのか」を自分の言葉で語れる揺るぎない土台作りが不可欠です。研修を通じて、その思考の幹を育てていきたいと考えています。

加々美様

今後の展望は「広げる」ことと「高める」ことの2軸です。まず「広げる」とは、今回得たWAFの考え方を、AWS案件に携わる全てのエンジニアが当たり前に持つべきベーススキルとして、組織全体まで浸透させていくことです。そして「高める」とは、AWSの新しいサービスの活用や、IaC(Infrastructure as Code)といった高度なエンジニアリング手法を積極的に取り入れ、エンジニアの実践力をさらに高い次元へと引き上げていくことです。

トレノケートのサービスに今後期待することがあればお聞かせください。

池田様

CloudDriverについては、AWSの新しいサービスを取れ入れたシナリオなど、選択できるテーマのバリエーションがさらに増えることを期待しています。これにより、エンジニアの継続的なスキルアップに直結するはずです。また、非常に中身の濃いプログラムである一方で、多忙なメンバーにとっては長期間の確保が難しいという課題もあります。そのため、エッセンスを凝縮し、より短期間で学べるコンパクトなコンテンツがあると、活用の幅がさらに広がるかもしれません。

↑ページの先頭へ戻る

「知っている」から「実践できる」エンジニアへ

▲ 左から池田様、加々美様

最後に、CloudDriverの導入を検討している企業へメッセージをお願いします。

池田様

CloudDriverは、WAFに沿ったアーキテクチャの思考プロセスを、座学ではなく実践を通じて身につけられる非常に優れたコンテンツです。「資格は取ったが、いざとなると最適な設計ができない」という課題は、多くの企業が抱えているのではないでしょうか。CloudDriverは、そうした「知識だけの状態」から脱却し、自信を持って「設計できる・構築できる」エンジニアへと成長するために、確かな効果をもたらしてくれるはずです。

↑ページの先頭へ戻る

導入サービス「CloudDriver」のご紹介

CloudDriverは、AWS認定資格取得後の"実務に向けたスキルアップ"を支援するサービスです。
実際の業務を想定した模擬プロジェクト試験を通じて、アーキテクチャ設計や環境構築の実践力を養成。複数の現役AWSエンジニアが詳細な評価レポートを作成し、受講者の強み・弱みを明確化します。個別フィードバックにより、スキルの定着と向上をサポート。社内教育の効率化や人事評価への活用にもご活用いただけます。

トレノケートでは、AWS認定トレーニングで体系的に知識を身につけた後、その知識を実践に結びつける段階としてCloudDriverの活用を推奨しています。
認定トレーニングと実践演習を組み合わせることで、学習効果を最大化し、現場で即戦力となるスキル定着を実現します。

CloudDriverについて詳しく見る

関連情報

お問い合わせ

ご相談、不明な点はお気軽にお問い合わせください。人材育成の専門家が研修計画をサポートします。ご相談費用は無料です。

研修総合カタログ(Digest)

提供サービスやトレーニング分野・主要コースをまとめたカタログです。どなたでも無料で閲覧可能です。